2016年度に次の基金より拠出した京都大学iPS細胞研究所さまの活動レポートをご紹介します。

 

京都大学iPS細胞研究所(CiRA=サイラ)では、様々な難病の治療法・治療薬の開発を目指し、2030年までの達成目標を掲げて、日々研究を行っています。(2030年までの達成目標についてはこちらをご覧ください)

2016年8月23日には、「再生医療用iPS細胞ストックプロジェクト」での大きな一歩がありました。iPS細胞研究基金を研究資金として使用しているプロジェクトではありませんが、私たちの掲げる目標達成への道のりとして、ご紹介します。(iPS細胞研究基金の収支報告はこちらをご覧ください)


2016_iPS_1.jpg

「さい帯血由来のiPS細胞ストックプロジェクト」記者会見にて
左から高須副所長(CiRA)、山中所長(CiRA)、北沢利文社長(東京海上日動火災保険株式会社)、
近藤謙二院長(医療法人財団医親会 海上ビル診療所)

 

iPS細胞を移植する際、患者さんご自身のiPS細胞を使って作った細胞であれば、その患者さんへの移植で拒絶反応がほとんど起こらないと考えられています。しかし、患者さんおひとりおひとりからiPS細胞をつくり、移植に必要な細胞を用意するとなると、半年~1年ほどの時間、そして莫大な費用がかかります。

この「時間」と「費用」という二つの問題を解決するために考えられたのが「iPS細胞ストック(備蓄)」です。

 

同意が得られた健康なボランティアの方から、血液の細胞を提供していただき、iPS細胞を作ります。そして、品質の確認を行ったあとに、冷凍保存しておき、必要な細胞へと分化させて治療に使うことになります。

一度つくったiPS細胞はたくさんの患者さんに移植できる量まで増やすことができますので、患者さんご自身の細胞から移植用の細胞をつくった場合よりも、費用や時間を削減できると考えられます。このiPS細胞ストックを柱として、CiRAでは再生医療を2030年までに普及させたいと考えています。


2016_iPS_2.jpg

ただ、この方法では、他人の細胞を使うことになりますので、移植する際に拒絶反応の問題が生じます。
その問題を解決するポイントとなるのが、HLAホモ接合体と呼ばれる特殊な細胞の型です。聞きなれない名前ですが、血液型を思い浮かべてみてください。

A型、B型、AB型、O型と4タイプあるうち、O型の人は他のどの血液型にも輸血することができます。
HLA型はかなり複雑で、数万タイプあると言われていますので、型がピッタリ合う確率はかなり低いですが、稀に父からも母からも、同じHLA型を受け継いだ人がいます。

こうした特殊なHLA型を持つ細胞は、O型の人の血液のように、比較的多くの人に拒絶反応が少なく移植できると考えられています。CiRAでは、HLAホモ接合体を有するドナーの方にご協力いただき、iPS細胞をストックすることで、効率よく多くの患者さんに対応できるようにしようとしています。

 

これまで、採血によっていただいた血液細胞から作製したiPS細胞ストックを、再生医療での利用を希望する他の研究機関・企業などに提供してきましたが、2016年8月23日からは、胎盤やへその緒に含まれる「さい帯血」から作製したiPS細胞ストックの提供も開始しました。

引き続き、HLAホモ接合体を有するドナーのみなさまよりご協力をいただきながら、2017年度末までに日本人の3~5割程度をカバーできる再生医療用iPS細胞ストックの構築を目指します。

 

<支援者のみなさまへ>
iPS細胞研究基金にご支援くださいましたみなさま、誠にありがとうございました。心より感謝申し上げます。
CiRAでは、「iPS細胞ストックを柱とした再生医療の普及」を支えるために、「日本最高レベルの研究支援体制と研究環境の整備」という目標も掲げています。

みなさまのご支援は、この目標の達成のために活用させていただいています。
iPS細胞技術を患者さんのもとに届け、多くの難病や怪我を治療できるように、所員一同、全力を尽くして参ります。今後ともiPS細胞研究へのご支援・ご理解を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

なお、2030年の目標達成に向けた研究の様子や、今回のような裏側の仕組みについてのお話は、年4回の『CiRAニュースレター』で配信しています。登録無料ですので、ぜひご登録ください。

 

前回の報告書はこちら

■京都大学iPS細胞研究所 (CiRA=サイラ)さまの詳しい活動はこちらからご覧いただけます。
(CiRAニュースレターのご登録はこちら)